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「革の歴史」

〇現存する最古の革製品は牛革の革靴

1991年、アルプス・チロル地方の標高3,200メートルにある氷河において、革製の帽子や服を身に着けたままの凍結ミイラが発見された。紀元前3300年ごろとみられ、毛皮の帽子、上着(コート)、レギンス、」矢筒、靴、腰巻、袋付きベルトなどの革製品を身につけていた。それらは、5種類以上の動物の皮がしようされており、当時から既に用途に合わせて動物の皮を利用していたことがあきらかになった。

さらに、アイスマンと呼ばれた冷凍ミイラのよりさかのぼること200年ほど前と推定されるが、世界最古の現存する革靴が2008年にアルメニアの洞くつで発見された。革製の袋状の靴モカシンに似たこの靴は紀元前3500年のもので、アルメニアにある洞窟の発掘調査で見つかった。靴は牛革製で、ほぼ完全な形で残っており、靴ひももあった。

〇日本でも古代から使われていた革製品

日本においても古代から皮革製品があったと考えられている。

「日本書紀」によれば、4世紀のころ、工人が渡来し、百済から革を裁断する技術を伝え、その後4世紀末より革工が渡来し、革を製造したということである。

大阪府豊中市の古墳からは約1,600年前に使わられていたとみられる革製の盾や鎧、奈良県の古墳からは約1,300年前のものとみられる鹿革の袋(ポシェット)が見つかっている。この頃の革製品は天皇や貴族のような一部の上流階級のためにつくられていた。

奈良の正倉院には鞍褥(くらじき)、納御礼履(のうのごらいり。靴のこと)、金銀絵漆皮箱(きんぎんえしっぴばこ)、紫皮裁文珠玉飾刺繍羅帯残決(むらさきがわさいもんしゅぎょくかざりしゅうらのおびざんけつ。革をきりぬいてつくられた模様を、縫い付けた帯の一部)などが収められている。

その柔軟性、工芸性、装飾性、デザイン性は、1,300年経過した現在でも十分通用する。

〇戦国時代には鎧兜に重宝された

戦国時代、革は鉄よりも軽く、硬さもあったことから鎧兜に重宝された。鎧の胴部分には牛革のようなかたい革に漆を塗ったもの、兜のつばには鹿革に綺麗な模様をつけたもの。また、大将が采配を振るうのに使われる軍配も革であった。この頃の話になると、現在のわたしたちでも容易に想像ができ、映像で見ることができ本物ではないにしろ、デザイン性や機能性が伝わってくると同時に有名な武将の兜などの飾りなどにこだわる、男のロマンを感じることができる。

〇江戸時代には庶民にも広まる

戦国時代が終わりをつげ、江戸時代に入ると皮革製品は庶民の間にも広まっていく。財布、煙草入れ、

まくら、雪駄、革羽織など。また、革は布と比べて燃えにくいことから、纏(まとい。火消組のしるし)にも用いられた。皮を張った太鼓や鼓(つづみ)、三味線などの楽器が出回るようになったのもこの頃である。

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〇皮革とは。皮・革・皮革の違い

動物から得られる「皮革」しなやかで肌触りがよく、触ると温かみを感じる。温度によって形状変化は少なく、適度な弾性があるため加工もしやすい。手入れによっては何十年と保つことから、親から子へ、何代にもわたり受け継がれることもある。

こうした特徴から、人は古くより「皮」の加工技術を発展させ「革」を生み出し、衣類、バッグ、家具や楽器など生活の様々な場面に活用してきた。日本においても、同様に原始時代から毛皮や皮革が利用されていたと考えられる。

〇ここに注目 皮・革・皮革はどう違う?

「かわ」には同じ読み方の「皮」「革」、その他に「皮革」を合わせた3つの表現があり、混同されやすいが、実際にはそれぞれ意味が異なる。

動物から剥いだあとの「皮」はそのままにしておくと腐ったり、そのまま乾燥すると硬くなってしまう。そこで、腐らないよう、柔らかさが保たれるように「なめし」の工程が施される。

「皮」とはなめし前の生皮を、「革」とはなめし後のせいひんとして加工できるように処理された状態を指す。なお「皮革」とは皮と革のどちらの意味でも使われる。

「皮革のきほん」

〇革の種類

すべての動物の皮が、革として加工されるわけではない。革となるのは「脊椎動物」、いわゆる背骨を持っている動物だけになる。動物が、自らの体を保護するためにある皮を利用しているのです。

革として利用している動物は、家畜として飼育されている牛、豚、羊、山羊、馬が大部分。これは、食利用した後に残る皮を活用しているからだ。皮革製品は人類最古のリサイクル製品ともいわれている。

また、革はどの動物のものかによってその特徴が異なる。

●牛:世界中でもっとも取引される。丈夫で、部位ごとの品質差が少ない。

●豚:国内で100%自給自足している。通気性に優れ、薄くて軽い。

●羊:品種が多くて皮の性状も多様。繊維は細かく、交絡が緩いので軽くて柔らかい。

●ヤギ:強靭ながらも弾力があり、厚みが薄いため軽い。

●鹿:キズが多く、銀面を除いて使用されることが多い。繊維は細かいが絡み合いが粗く、非常に柔ら                 かい革となる。かつては武具によく使われていた。

●馬:牛に似ている物の繊維構造は粗大で、毛穴数が少なく銀面(表面)はなめらかである。

尻部分の内層から取れるコードバン層は繊維密度が高く、一部の馬皮からしか取れないので

希少とされている。

●ダチョウ:オーストリッチ羽毛を抜いた後の突起した軸跡(クイルマーク)は他の革にはない特徴。

現在は各地で養殖されている。

●ワニ:独特の鱗模様が特徴的。部位によって形状や性質が異なる。

●サメ:鮫肌の所以である楯鱗(じゅりん)という硬い表皮を除去して仕上げる。銀面は、細かい

連続した網目状に凹凸がある。

●エイ:銀面(表面)全体に敷き詰められた光沢のあるビーズ模様がある。背部の中ほどには真珠様の                    「石」が並びユニークな特徴となっている。

●ヘビ:斑紋や鱗模様が独特で、同じ個体の革でも部位によって入り方が違う。

参考文献: 一般社団法人 日本皮革産業連合会

 

革の歴史から、革の種類に至るまで先人の技術を継承し、古代より生活の中に密着している「皮」。食すことから、その副産物である。「皮」を現在まで、「革」としてカタチを変えながら、もしくは歴史の中にある革製品であることは非常に関心の高いことであり、魅力的である。

これからはそれらの「皮」から「革」への、なめし技法、製造技法をご紹介してまいります。

 

WithFOREST VOL.3

 

 

 

 

 

 

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